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日本語版CRS-Rの尺度特性の検証

執筆者の写真: 事務局 CRS-R事務局 CRS-R

日本語版CRS-Rの信頼性と妥当性に関する研究


本記事で紹介している論文のリンクはこちらです↓


目的

本研究の目的は、日本語版CRS-Rの信頼性(評価の再現性)と妥当性(従来の意識障害評価尺度との相関)を検証することでした。これにより、日本の医療現場においてCRS-Rが適切に使用できるかを評価しました。


方法

研究には、脳損傷による意識障害を有する59名の患者が参加しました。

以下の方法でデータを収集しました。

  1. Test-Retest信頼性:同じ評価者が同日に2回CRS-Rを実施し、結果を比較(A1とA2)

  2. 評価者間信頼性:異なる評価者が同日にCRS-Rを実施し、結果を比較(A2とB)

  3. 併存的妥当性:CRS-RとGlasgow Coma Scale [GCS]、Japan Coma Scale [JCS])のスコアの関連性を評価

  4. 内的一貫性の検証:A1、A2、Bの3つの測定のそれぞれについてクロンバックαを計算

  5. 意識障害の診断の一致:Table2の基準に従って、CRS-RとGCSによる意識障害の診断結果の一致度を評価



研究結果

Test-Retest 信頼性

  • A1とA2が同日に得たCRS-Rの総得点は高い相関を示し(ρ=0.92、p<0.01)、優れたTest-Retest信頼性を示した(表3)。

  • Bland-Altman分析では、A1とA2のCRS-R得点に固定誤差や比例誤差は認められなかった。測定誤差はSEMで2.08、LOAで-5.79-5.72、SDCで5.75であった(表3、図2)。

  • A1とA2による同日の意識障害(DOC)の診断は、59例中48例(81%)で一致した(κ=0.82、p<0.01、優れた一致)(表4)。


評価者間信頼性

  • A2とBが同じ日に時間差なしに評価したCRS-Rの総得点は、高い相関(ρ=0.98、p<0.01)を示し、良好な評価者間信頼性を示した(表5)。

  • Bland-Altman分析により、A2とBのCRS-R得点に固定誤差や比例誤差は認められなかった。測定誤差は、SEMが0.95、LOAが-2.45-2.82、SDCが2.62であった(表5、図2)


併存的妥当性

  • CRS-RとGCSの相関:ρ = 0.92(高い相関)

  • CRS-RとJCSの相関:ρ = −0.82(高い相関)



内部一貫性

CRS-RのCronbach's alphaの結果は、A1、A2、Bそれぞれで0.91であり、良好な内的一貫性を示した。下位尺度間のスピアマンの順位相関係数は0.53から0.91であり、良好な相関が示された(表6)。いくつかの下位尺度では相関係数が0.7以上の強い相関が観察されたが、0.2以下の弱い相関の項目はなかった(表6)。


意識障害の診断の一致

  • 対象者59名の中で、18名がEMCS、26名がMCS、15名がUWSと診断された(表7)。

  • CRS-RとGCSの診断は59例中42例(71.2%)で一致し、重み付けカッパ係数は0.63であった(p<0.01)。

  • CRS-RでEMCSと診断された患者のうち、GCSは18例中7例(38.9%)を診断できた。

  • CRS-RでMCSと診断された患者では、GCSは26例中20例(76.9%)を断できた。

  • CRS-RでUWSと診断された患者のうち、GCSは15例全例(100%)を診断できた。

  • CRS-RとGCSの診断が一致しなかった症例は59例中17例(28.8%)であった。このうち、17例中16例(94.1%)は、GCSに比べCRS-Rの方が高次の意識徴候を検出できた。


研究の意義

この研究は、日本国内における意識障害の評価の標準化に大きく貢献します。従来の評価尺度では検出が難しかった軽微な意識の変化を、日本語版CRS-Rを用いることでより正確に捉えることが可能となります。


今後の展望

本研究の結果を踏まえ、日本の臨床現場でのCRS-Rの普及が期待されます。また、より多くの患者データを収集し、長期的な予後予測や治療効果の評価にも活用できる可能性があります。



 
 

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